産み方に、じぶんらしさを。
産婦人科医:錢瓊毓(せん けいいく)さん

【1】病院と助産院って、何が違うの?

1. はじめに

「病院と助産院の違いについて書いてください。」と依頼をいただきました。気軽に引き受けたものの、実際に文章を書き始めるとかなり苦労しました。言葉尻をとらえて揚げ足をとる人がいるのではないか?ネット上で炎上したらどうしようか、と心配しました。

何度も何度も原稿を書き直しましたが、私の考えが伝わるだろうか?誤解を生まないだろうか?…と、書き上げた今もまだ不安です。

病院と助産院という2つの場所について書くだけなのに、神経質になり過ぎだと思う方もいらっしゃるかもしれません。私の杞憂に終わることを祈りつつ、しばしお付き合いください。

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錢瓊毓(せん けいいく)
東京都内で働く産婦人科医。
【NPO法人ぱぱとままになるまえに】の活動に共感し、勤務の合間をぬってイベントでの講演等に協力中。

2. どこで産む?

「妊娠した!!!さあ、どこで産もうかな?」と思ったときに、産む場所としての選択肢は、大きく分けると、【総合病院】【産科病院/クリニック】【助産院】【自宅】とあります。
ここでは、前二者をひとくくりにして「病院」、後二者をひとくくりにして「助産院」とします。この2グループの違いは、「医療行為を行えるかどうか」です。

医療行為(注射・投薬・手術など)は、法的には医師のみに認められた行為です。なので、医師が常駐していない助産院では、医療行為を行うことができません。(医療行為を合法的に行える人間がいない、と言った方が正しいですね。)言い換えると、助産院に医師が出向いて行けば、助産院でも医療行為を行うことができます。

「病院=医療行為を行える」「助産院=医療行為を行えない」という単純理解で良いです。

これで病院と助産院の説明を終わることができれば気楽なのですが、そうもいかないので頭を悩ませています。ここから長くなりますが、ここからが大事なので、どうか読み進めてください。

3. 妊娠・出産は病気?

Q. 妊娠・出産って病気じゃないんでしょう?
A. はい、そのとおりです。
Q. じゃあ、医療行為いらないね。
A. ええ。病気にならなければね。
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妊娠・出産は人間の自然の営みの一部です。ところが、妊娠・出産をきっかけに妊産婦さんの健康が害され、最悪の事態では命を落とすことがあります。
また、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で亡くなったり、妊娠・出産中の何らかの出来事が原因で重篤な後遺症を持って生まれてくることもあります。これらを全て自然淘汰だ、運命だと見なし、悲しい結末を受け入れている時代もありました。

しかし、人間は、悲しいことに出会うと、二度と同じことが起こらないために何かできないかと考えます。妊娠出産に関しても同じです。先人たちは、なんとか無事に妊娠出産を終えることができないかと願い、努力を積み上げてきました。
方法はどうであれ、その試みは世界中のあらゆるコミュニティで継続的に行われ、その結果として医学や助産学が発展したのです。

では、妊娠・出産中にどんなことが起こりうるのでしょうか?

小さなことから大きなことまで挙げるとキリがないので、詳細は割愛します。ここでみなさんに知っておいてほしいのは、状況は時々刻々と変わる、ということです。

妊娠中も、出産中も、何かが起こる可能性は誰にでもあります。誰に何が起こるかは最後(赤ちゃんが生まれるとき)までわかりません。何かが起こったとき、「先週まで全然問題なかったのに」「ずっと順調だったのに」と思うでしょう。そういうものなんです。妊娠出産って。

そして、こんなに脅しておきながらなんですが、実際、妊娠出産では何もないことの方が多いということも知っておいてください。私たち産科医の出番はないことの方が多いんです。全てのお産において医者の出番がなければどんなに素敵でしょうか。でも、医者が絶対に必要な場面が万に一つあります。その小さな可能性をどう考えるか、リスクをどうとらえるかで出産場所がかわってきます。

(つづきます)

書いた人:錢瓊毓(せん けいいく)

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