産み方に、じぶんらしさを。
開業助産師:田中幾子さん

【1】毎日みているから気づくこと。

「インタビューしてみたい人っている?」

【ぱぱままっぷ】の編集会議をしていたとき、「尊敬している助産師の大先輩のところへ行きたい。」と言いました。

大先輩の名は、田中幾子さん。S誠会第二病院で働いていたとき、副看護部長さんだった方です。さっそく連絡をとり、インタビューしました。

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世田谷区内を中心に活動している個人開業助産師:田中幾子さん(67歳)
 
助産師学校を卒業後、国立大蔵病院(現在の国立成育医療研究センター)で約3年勤務し、出産のため退職。
 
育児に専念していたが、義母と同居だったため「家庭に主婦は2人いらないな。」と感じ、1年半で職場復帰。
配属された婦人科外来の助産師は、当時田中さん1人だけでした。
 
訪れる妊婦さん全員の計測・保健指導を行うかたわら、学生の実習や、家族計画指導にも力を入れた。
4年後、小児科病棟に異動。このとき、思春期の男女に対する性教育に関わる。
6年後、産科に戻りたくて退職。世田谷区にあるS誠会第二病院に就職する。
S誠会第二病院では、外来で約9年勤務し、うち4年弱は外来師長を勤める。
産科病棟の師長、病院の副看護部長を歴任した後、定年で退職。
 
平成23年に、訪問専門の助産師として開業。現在も世田谷区内で活躍中。
日頃は出張・訪問で母乳や育児の相談、世田谷区の「赤ちゃん訪問」「母親学級・両親学級」などの講師も務めている。

たかよ 田中さんとは、私がS誠会第二病院に見学に行ったときに、当時副看護部長さんで案内してくれたのが最初。一緒に行った同期の幼馴染みのお母さんだった(笑)

田中さんが入職した当時と今とでは、色々と体制も違ったようですね。今は産婦人科の外来と病棟の助産師が統合されて、初期のころから関われるので、継続して状態も把握できます。

妊婦さんの顔と名前も一致して、お産で入院するときに顔見知りなのがいいですね。

ひろみ 知っている助産師さんや、顔を見たことある助産師さんがいるっていうのは、妊婦さんもホッとできそう。

田中さん 私の入職した頃は助産師外来がなくて、看護師と産婦人科の先生だけで外来の診察をまわしてた。あんまり妊婦さんは保健指導されてなかったのね。でも、私が入って「保健指導は大事だ!」って言って、一生懸命変えたの。看護師さんも協力してくれました。

ひろみ 「保健指導」って、何ですか?

たかよ 妊婦さんが健康に妊娠生活を送れるように、生活指導をしたり、出産や育児の準備をサポートすることだよ。

田中さん 当時の「母親学級」は、1回目は産科の先生、2・3回目は病棟の助産師、4回目は小児科の先生の話…となっていて、一貫性がなく、バラバラだった。
「せっかく妊婦さんが集まるのに、もったいない!」と思って。1回目・4回目も私がやることにして、産後や、育児の話とかを追加していったの。

業務中心のシフト体制から、妊婦さん中心に。

田中さん あたしは毎日病院にいたから、わかってきたことがあるの。妊婦さんが外来を受診して、担当された先生が知らない先生だと、ちょっとした質問は毎日いる顔なじみの助産師のほうが、質問しやすいみたいなの。
大体妊婦さんって同じ曜日に来るから、私が病棟勤務になってからは、病棟の助産師も曜日ごとに外来を担当するようにしたの。顔がわかってると色んな話がしやすくなるじゃない?

たかよ たしかに、行けば同じ助産師がいるっていうのは、妊婦さんにとってはありがたい。

ひろみ 超大事ですね!そもそも毎回病院に行ったら助産師さんが違うっていうのは一般的なんですか?

たかよ うん。多くのところがそうだと思うよ。

田中さん 業務中心にやってるとそうなっちゃうの勤務をつくる方も大変だし、バランスがあるからね。

ひろみ でも、自分の担当というか、「この日は任せて!」みたいなのがあるって、いいなぁと思いました。

気がついたことを、一つ一つ変えていった。

kinuta世田谷区砧総合支所
田中さんは「健康づくり課」の母親学級を担当している。

たかよ 妊婦さん側も、指導受けて、やってみてどうだったか報告したいだろうし、助産師も気になる。相互のやりとりってお互いに必要なこと。助産師にとってはやりがいになるし、効果がなかったら、また別の方法を提案したりできるし。
関わりをもてた妊婦さんのことは、「そろそろあの人お産かな?」って気にかかるし、お産に来たら「○○さんなら大丈夫!」って声をかけたり、産まれた後に会いに行ったりできる。関わりが続くのがいいですよね。

田中さん ほんとに。顔見るだけでも違うんだよね。

たかよ 助産師側としても、全く知らない妊婦さんが陣痛で入院してくるとなると気構えちゃうけど、外来で話したことがあると、「あぁ、あの人ね。」って気が楽になる。

田中さん 曜日ごとに助産師を決めたあとは、チェックリストを作った。誰が、いつ、何を妊婦さんに話したのかわかるようにしたの。

たかよ 重点的にフォローが必要な場合、みんなでちゃんと把握できますしね。

田中さん 最低限、「妊娠週数◯◯週の時には、△△を伝えよう」っていうのを決めたの。妊婦さんみんなに毎回1から説明してると待ち時間が長くなっちゃうでしょ。でも、積み重ねは大事だからね。体制整えつつ、「まぁでも、心配なことがある人はいつ来てもいいよ~。」って感じでやってました(笑)

たかよ 忙しい妊婦さんは「時間がないから」って指導に寄らないで帰っちゃうって人もいるし、逆に不安な人は毎回寄る…みたいに、「聞ける人と聞けない人」ができるのを防げていいですよね。

 

(つづきます)

書いた人:高橋孝予

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