産み方に、じぶんらしさを。
開業助産師:田中幾子さん

【2】“いいもの”をどんどん組織に取り入れるには。

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世田谷で出張専門の母乳相談や育児相談を行う、開業助産師の田中幾子さん。定年退職する前は、総合病院の副看護部長として働きながら、地域での活動にも積極的に顔を出していました。
様々なことに関心をもち、「いいものは取り入れる」姿勢の田中さん。病院という“組織”を動かしたときのお話をお聞きしました。

 
田中さん 病院内での妊娠中の指導と、母親学級を充実させた後は、マタニティヨガもはじめたの。最初、私がヨガ習いに行って、その後他の助産師も習いはじめた。
せっかくヨガの資格取ったのに、使わないともったいないでしょ。だから、習ったことを使う方法をみんなで考えて、病院でヨガクラスを開くようにしたの。
 
母親学級とかヨガとかいろんな教室では、参加費をもらうようにしました。参加券には通し番号をつけて、何枚売れたのかを集計した。その結果を見せて、「助産師が自発的にはじめた取り組みで、病院の収入がこれだけ増えましたよ!」って院長に報告したら、助産師手当がプラスされたの!
 
お給料を増やすためにやったことじゃないけど、自分たちが取った資格を、どうしたらケアに活かせるかを考えて取り組んだことが評価された。あのときはすごく嬉しかったね~。
 

ママたちが必要とする時期に、ちょうどいいサポートを。

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田中さん 自治体がやっている乳児健診は、生後1ヶ月の次は3〜4ヶ月健診なんです。「2ヶ月のあたりで、もう一度フォローする機会があれば、ママたち、安心できるんじゃないかな。」って思って、“2ヶ月同窓会”をはじめたの。
 
退院から1か月までは「もうすぐ1ヶ月健診があるから」って頑張れて、次は「2ヶ月同窓会があるからそれまでどうにか」って頑張れて、3~4ヶ月くらいには「次の健診で聞こうかな」ってなるでしょ。
赤ちゃんは3ヶ月くらいになるとだいぶしっかりしてくるけど、1ヶ月健診のあと、次は3~4ヶ月健診まで期間があくからお母さんたち、不安だろうなと思って。
 
 
“2ヶ月同窓会”の目的は、表向きは「ベビーマッサージ教室」でしたが、実際は、お母さん同士の交流や情報交換、ちょっとした疑問を助産師に相談できる場を用意することにありました。
田中さんは副看護部長になっても、現場に日々足を運び、妊婦さんやお母さんたちと関わり続けました。だからこそ、妊婦さんやお母さんたちが“ほんとに望んでいること”に気がつき、それを反映した病院づくりができました。
 
 
たかよ ふつう副看護部長って、病棟のことはやらないのに、田中さんは積極的に母親学級に出たり、外来も病棟も見て歩いて、妊婦さんたちに声かけたりしてた。妊婦さんたちのアイドル的存在だったの(笑)。田中さんに会うとみんなが和む姿が印象的で、すごいなぁと思っていました。
 
田中さん 現場が大好きだったのよね。
 
 

子守唄は、お母さんと赤ちゃんの“心の拠りどころ”

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たかよ  母親学級は4回の連続講座だったんだけど、主に田中さんが担当していた4回目が特徴的だった。テーマが、「子育てのイメージづくり」と、「歌」なんですよね(笑)。
 
田中さん 子守唄やってたの。生まれてくると、赤ちゃんって泣くのよね。泣いたときにどう対応したらいいか、今の人たちってわかんなくてイライラしたり困ったりするから、そのときにぜひ使ってほしいなと思って。子守唄協会の代表の人に会う機会があって、そのときに「子守唄は“心のふるさと”になります。」って言っててね。それは使わないと!と思って。
 
たかよ 唄を教える病院も珍しいですよね。
 
田中さん 病院では普通やらないと思う。子守唄は、一つの手段なんです。ママ達、何か“すがるもの”があったら、ちょっと気持ちが楽になるでしょ。
 
今でも世田谷区の「健康づくり課」で教えてるの。ある時参加してくれた人が「子守唄聞いたら、涙が止まらなかった。」って言っててね。その妊婦さんね、家に帰って自分のお母さんにそのことを話したんだって。そしたら、「あんたが子供のとき、いつも歌ってあげてた歌だよ」って言われたんだって!やっぱり残るんだなぁって思った。
 
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田中さん また、こういう人もいたね。1人目の子どものときは子守唄歌うと泣き止んだんだけど、2人目の子は効かなかったパターンもあって。だけど、歌ってるとお母さん自身の気持ちが楽だから、その子がギャアギャア泣いても、ずっと歌いながら歩いてたんだって。
 
そしたら2人目の子がしゃべれるようになった時に、「子守唄歌って」ってお母さんのところに言ってきたんだって。お母さん、「この子には子守唄は効かないと思ってたからビックリしました」って。「子どもはちゃんと聴いてたんですね」って言われて、こちらが感激しちゃった。
 
たかよ 知識中心ではない、育児をする上での “知恵”みたいなものが田中さんの母親学級の中にはありました。「おっぱい体操」とかも教えてましたね。 “産み育てる自分の身体を大事にすること”も教えてくれる母親学級だったのが好きでした。
 
田中さん いろんなところに行って、いろんな取り組みを見て、聞いた“いいこと”を、「せっかくだからこれは病院で使おう!」っていう感じで、どんどん取り入れていったのね。
 
ひろみ 仕事と、プライベート!と分けたりせず、“立場”とか境目なしに生きている感じがいいですね。そんな風に関わってもらえたら、なんか満たされるものがあるのかも。
 
(あと2回、つづきます。)
 
書いた人:髙橋孝予

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